NPOコンサルタント堤大介のブログ│朝ぼらけタイガー

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ここまでやれば誰でもできる!プレゼン練習法〜場面緘黙症だった私が研修講師になるまで〜

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ここまでやれば誰でもできる!プレゼン練習法〜場面緘黙症だった私が研修講師になるまで〜

こんにちは。NPOコンサルタントの堤大介( @22minda )です。

本日は「ここまでやれば誰でもできる!プレゼン練習法〜場面緘黙症だった私が研修講師になるまで〜」というタイトルで、プレゼンや講演など人前で話をするための準備や練習法について書きます。

特に人前で話をするのが苦手だという方の参考になれば嬉しいです。

場面緘黙症だった私

さて、ブログタイトルには「場面緘黙症だった私が」と書かせていただきました。場面緘黙症(ばめんかんもくしょう、と読みます)とは何か、ご存じない方も少なくないかと思います。

場面緘黙症とは、家庭などでは話すことが出来るのに、社会不安(社会的状況における不安)のために、ある特定の場面・状況では話すことができなくなる疾患(場面緘黙症 - Wikipedia)のこと。授業中に先生から指されて黙りこくってしまうとか、仲良くない子から話しかけられて返答することができなくなってしまうとか、そういう子クラスにたまにいますよね。私はそれでした。自分のそうした症状に場面緘黙症という名前がついていたことも実はわりと最近知ったのですが。

私は今でこそ研修講師として多くの人前で話をしたり、コンサルタントとして日々多くの方と知り合いお話をするような仕事をしておりますが、元々人前で話をすることが大の苦手ですし、知らない方と出会ったりすることがとても苦手でした。苦手でした、というか別に今でも得意ではありません。

当然プレゼンなど得意なわけがありません。

そんな私が仕事としてプレゼンや講義を仕事として行うようになるまでにどんなことをやってきたのか。本日の記事の内容は私の実体験に基づくお話です。

 

プレゼンがうまくなるために必要なたった一つのこと、それは「練習」だ

NPOコンサルタントとして仕事をし始めて2019年4月で丸3年が経ち4年目に入ります。個別伴走支援としてのコンサルティングの他に、研修講師の仕事も多くいただいております。研修や講座の方が一度にお会いできる方の数は多いので、むしろ研修講師として出会った方の方が多いぐらいですね。研修講師の仕事をする際に、本当にありがたいことに「話が上手ですね」とか「分かりやすいです」といった言葉をたくさんいただきます。良い機会に恵まれてきたおかげで、現在では多少人前で話をすることに自信を持てるようにもなりましたし、講師業が楽しくも感じられるようになりましたが、そもそも人前で話をするのが苦手な私にとっては信じられないような言葉でした。

NPOコンサルを始めた時点で場面緘黙の症状が残っていたわけではないので場面緘黙症だった私が、というのは大げさではあるのですが、人前で話をするのが不得手だったことは確かです(場面緘黙という症状自体と私がどう向き合ってきたのか、についてはもし同じ症状に苦しむ方の参考になるようであればまた別途書いてみたいと思います)。

そこから何をどうしてきたのか。といっても、そんなに複雑なことはやっていません。というか一つのことしかやっていません。

  

それは、練習です。

それだけです。本当に、それだけ。ひたすらに練習をしました。

 

「人前で話をするのが苦手です」「プレゼンが苦手です」

 

そうしたお話や悩みをよく聞きます。その気持ち、ものすごく分かります。誰より私が苦手だから。気持ちは分かるのですが、苦手だという方によくよくお話を聞くと、大抵の場合あまり練習をしていないんですよね。

多くの場合、単純な練習不足です。そして練習の前の準備も。もちろんプレゼンや話をすることに関して才能のようなものを持っている方は多くいらっしゃると思います。が、才能で超えられない壁に至る前にそもそも練習や準備が足りなさすぎるのです。

 

 スティーブ・ジョブズですら準備と練習を欠かさない

プレゼンが上手な人としてスティーブ・ジョブズの名前を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。私も彼のプレゼン、大好きです。人を惹きつける話をする天才的な才能の持ち主の一人でしょう。

でも、そんなスティーブ・ジョブズですらプレゼンの前には準備と練習に多くの時間を割いていたそうです。

  1. プレゼン全体のストーリーを作る
  2. 絵コンテを作成する
  3. スライド資料を作成する
  4. 本番を想定した数時間のリハーサルを数日間行う

あのスティーブ・ジョブズですらこれだけの準備と練習を行っているのです。プレゼンが苦手だと感じているのであれば、せめて準備や練習で負けないようにしなくてはいけないと、私は思います。

 

ここまでやれば誰でもできる!プレゼン練習法

ここからは私が実際に行ったプレゼン(講義・講演)の準備・練習方法について説明します。ひたすらに練習をするとはいっても色々と考えつくだけの工夫はしていました。大きくは以下の3つのステップです。(本記事は「人前で話す」ための練習法なので、スライド作成のポイントについては省略します)

  1. トークスクリプトの作成
  2. ”効果的”な反復
  3. 本番を想定したシミュレーション 

 練習法①:トークスクリプトの作成

トークスクリプトの画像

話す内容を付箋に書き、印刷したスライドに貼る

まず最初のステップはトークスクリプトの作成です。プレゼン等人前で話すことが苦手な人にとっては、本番の緊張は手強い敵です。頭が真っ白になり何も話せなくなってしまいます。

それを防ぐ最も簡単な対策がこのトークスクリプトの作成です。つまりは話す内容を予め決めておくということ。発表用の原稿を作成する際に、「キーワードだけ記載するのか、あるいは全文を記載するのか」という選択がありますが、私は始めのうちはほとんど全文を記載する原稿を作るようにしていました。

なぜならキーワードから実際に話す内容を組み立てながら話すということは自分の頭に負荷をかけることだからです。本番の緊張や混乱の中にいる自分の頭にそのような負荷をかけるべきではありません。実際、最初はキーワードだけを記載して練習し始めたのですが、練習するたびに内容や言い方が変わってしまいどうしてもしどろもどろになってしまいました。また、本番の緊張という状態は良く言えば軽い興奮状態でもあり、頭が白くというより頭の回転が早くなり過ぎることもあります。そのような時には言う必要がないことまで頭に次々と浮かんで口に出してしまい、スライドの流れと矛盾を起こしてしまうということもあります。こうしたことを防ぐにはやはりしっかりと事前に練習し、本番は「練習通りにやれば大丈夫」と自分を安心させて臨む必要がありますので、全文を準備して練習することがオススメです。

実際の作業としてはスライドを印刷し、スライド一枚ごとに話す内容をすべて付箋に書き出して貼っていきます。スライド一枚について付箋一枚で良いものもあれば、5枚以上の付箋が必要なものも出てきます。この段階で「話す内容が多すぎるからスライドを追加した方が良いな」などと、スライド資料自体の見直しにもつながりました。

なお、スライドを印刷する際はA4一枚に2つのスライドを印刷する「2UP」がオススメです。2UPで次のスライドが見えている状態の方がスライド同士のつながりを意識しながら練習することができるためです。また、4UP以上だとスライド一枚が小さくなりすぎて付箋を貼りきることができませんでした。(これについてはスライドの作り方にもよると思いますが)

プレゼン発表用「ノート機能」の活用について

パワーポイントやkeynoteにはプレゼン発表者用の「ノート機能」というものがあります。トークスクリプトやキーワードを予め記載しておくと、プレゼンモードを使用した際に手元のPC画面でノートを参照しながらプレゼンができるというものです。発表用の原稿を用意するという方の中にはこちらの機能を活用している方も少なくないと思います。

ただ、私はあまりこの機能はオススメしません。ノートを見ながら発表練習を続けると、手元のPC画面を見ながら話す姿勢が癖付いてしまいますし、「いざとなったらノートを見れば良い」という安心感や甘えは原稿を覚えるという作業を甘くしていまいます。

発表本番は何にも頼らずに話せるようになるためにも、印刷した資料での練習しましょう。

時間がかかる方法だが、徐々に減らし、成長を感じられる

言うまでもないことですが、話す内容全文を検討し書き起こすというのは相当に時間がかかります。それでも最初のうちは何時間の講演であろうとも、すべてのスライドの原稿を用意するということを愚直に繰り返していました。実際には手書きではなくPCで原稿を用意するなどで時間を短縮することもできるとは思います。そして、苦手なプレゼンでも場数をこなすことによる慣れは必ずあります。

私の場合は「全文ではなく、キーワードだけ書けば大丈夫だな」と自分で感覚をつかみながら徐々に準備や練習にかける時間も減らしていくことができました。「準備や練習の時間を減らしても自分はちゃんとできる」と思えることは自分自身の成長を感じることであり、この感覚自体が自信にもつながりました。

練習法②:”効果的”な反復

トークスクリプトの改善と練習を繰り返すステップの画像

トークスクリプトの改善と練習

本番用の原稿ができたら、その原稿を活用して練習を行っていきますが、当初検討したものをそのまま暗記するという訳ではありません。声に出して読み上げ、違和感のある部分を修正しながら覚えていきます。特に一番最初に読み上げ練習を行った際は、修正点がたくさん出てきます。用意した原稿が十分ではなく話しにくいところがあったり、逆に冗長すぎるところも出てくると思います。また、スライド同士のつながりが不自然になっている箇所が見つかることもあります。修正点を見つけたらすぐに付箋を追加・修正します。

ある程度修正が完了したら今度は本番を想定して時間を測りながら読み上げ練習を行います。この段階で時間が大幅にオーバーする場合には、省略する部分を検討する必要があります。こうしてトークスクリプトを修正しながら何度も練習していきます。時間を測っての練習、トークスクリプトを見ずに行う練習など徐々に本番に近づけていきます。回数としては時間を測るものだけで最低5回、最初のうちは10回以上やっていました。

なお、声を出しながら練習するのが基本ですが、何度も声を出して練習し暗記が進んでくるとスライドを見ただけで話す内容が出てくるようになり、この段階まで来ると電車の中でスマートフォンでスライドを見ながらでも練習、確認をすることができるようになります。

反復練習の効果を高める工夫

反復練習を進める中で単純な暗記だけでなく、プレゼン自体の質を高める工夫も行っていました。

例えば録音。自分が練習している音声を録音し、録音した音声を聞き返します。耳で聞くことで「話すスピード」「間のとり方」などを確認することができます。また、ビデオ撮影や鏡の活用もオススメです。プレゼンには声だけでなく身振り手振りや姿勢など「身体の使い方」も重要な要素となりますので、直した方が良い点がないかしっかりと確認します。

練習のための録音や撮影には高価な機材は必要なく、スマートフォンのアプリで十分です。

 

練習法③:本番を想定したシミュレーション

原稿を用意して完璧に暗記し、話し方や身体の使い方まで練習することができれば準備は大方完成です。ここから先はさらに発表の完成度を高めるためのポイントです。

観客のことをできる限り調査する

そのプレゼン発表は誰を相手に行うものでしょうか。観客が誰で何を伝えたいのかはそもそもプレゼンする内容(スライドに記載する内容)を作成する段階で最初に検討すべきことではありますが、発表練習を行っている段階でも有効ですし、直前になってから入ってくる情報もあります。

例えば私の場合は、NPOや市民活動向けの研修講師をする機会が多くあります。どんな団体を想定した研修なのかということは事前に主催者と打ち合わせをしますが、実際にどんな団体が参加申し込みをしてきたのかということは直前になって初めて分かることが多いです。事前に参加者が分かる場合には参加者一覧を共有してもらい、参加団体のHPなど調査できる内容は事前に把握するようにしていました。

相手の悩みや課題まで把握できれば一番良いですが(連続講座などでワークとフィードバックを行うようなものの場合には参加団体それぞれで実際にワークを試してみるということもやっていました)、そこまでは難しかったとしても、どんな人が来るのか想像することで不安が薄まるという効果もあります。

質問を想定する

講座中には質疑応答の時間も取りますので、質疑についても事前に考えておきます。どこでどんな質問が来そうかということについては、ある程度経験を積まないと想定できない部分もあると思いますが、どこで質問を受けるのかを考えておくだけでも違います。

アドリブの練習

最後のポイントはちょっと変わった視点かもしれません。私の練習法は原稿を用意し、暗記するという非常に単純な方法ですが、原稿を丸暗記するという方法を採ることでどうしても棒読み感が出てしまう可能性があります。

プレゼンが上手な人はその場その場で観客の反応を見ながら話し方を変えたり、たとえ話を交えたりすることで理解度を深めていきますが、丸暗記の私にはそれができませんでした。

録音や撮影などは丸暗記によるマイナス面を補う工夫でもあるのですが、とにかく「ありとあらゆることを事前に練習しておきたい」と考えた私が他に何かできることは無いかと考えた対策が「アドリブで話しているように聞こえるための練習を行う」というものでした。

例え話や事例紹介などを、さもその場で思いついたように聞こえるために録音しながら練習するということ。今振り返るとよくそこまでやったなと思いますが、真面目にやっていました。

その他のオススメ練習法

ここまででプレゼンの練習や準備で私がやっていたことの説明は以上です。最後にその他に私が自身の講師としてのレベルを上げるために取り組んできたことです。

上手な人のプレゼンを見る

まず最も効果があるのは「上手な人のプレゼンを見る」ことです。練習方の中で話し方や間のとり方、身体の使い方などを改善すると書きましたが、そもそもどういう姿が良い状態なのか自分の中にイメージがなければ改善点を挙げることができません

実際に自分で講演や講座等に参加し、聴衆目線で聞くことで気づくこともたくさんありますし、Youtube等の動画サイトでも良い素材をたくさん見つけることができます。TEDなども好きでよく見ていましたが、TEDはスライドをほとんど使わずトーク主体であることなど条件が少し特殊なので参考にする際はその点を意識しましょう。

また、私の場合は会社の中での共通の講演テーマのようなものがあったため、上司が話しているものを録音し、丸暗記するほど聞いていました。当時の上司たちは全国様々なとこで研修講師をしていましたが、日本全国でもダントツに回数を聞いている自信があります。

自分の本番を録音し聞き返す

また、自分の本番の音声も録音していました。自分の録音音声を聞くのはなかなかの苦行なのですが、練習通りにできたのか、うまく行かなかった部分はどこか、改善できそうなポイントはどこかなどなど、学びはたくさん出てくるのでやる価値はあります。

 

以上です。

本記事では「ここまでやれば誰でもできる!プレゼン練習法」と題し、人前で話すのが苦手だった私がどのように準備・練習を行ってきたのかについて書いてみました。

人前で話すのが苦手だと感じていらっしゃる方や、どんな準備や練習をやればよいのかお悩みの方の参考になれば幸いです。