NPOコンサルタント堤大介のブログ│朝ぼらけタイガー

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今すぐ寄付すべき「理由」をつくる!寄付キャンペーンの意義

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今すぐ寄付すべき「理由」をつくる!寄付キャンペーンの意義

こんにちは。NPOコンサルタントの堤大介( @22minda )です。本記事では「今すぐ寄付すべき「理由」をつくる!寄付キャンペーンの意義」と題し、クラウドファンディングを始めとして多くのNPOがファンドレイジング施策として実施する寄付キャンペーンについてファンドレイジング戦略上の意義についてお伝えします。

 

 

そもそも”キャンペーン”とは何か?

皆さんは「キャンペーン」と聞いてどのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。

プロモーションキャンペーン
販促キャンペーン
広告宣伝キャンペーン
プレゼントキャンペーン

などなど。用語や使われ方はさまざま思い浮かぶかと思いますが、基本的に製品やサービスの広告・宣伝目的に行うものとして思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。キャンペーンという言葉自体は元々マーケティングのために登場した訳ではないのですが、現在では基本的にマーケティング用語として使われることが多い言葉となっており、テレビCMやインターネット上を始めとした広告等でも頻繁に見かける言葉となっています。

マーケティング用語としてのキャンペーンは以下のように定義することができます。

一定期間において、
特定の目的の下で、
多様なメディアを介して、
組織的に人々に働きかける一連の活動

では、この”キャンペーン”で寄付を募るとはどういうことで、そこにはどんな意味があるのでしょうか。

ファンドレイジング戦略の基本ステークホルダーピラミッド

寄付キャンペーンの意義や特徴を掴むために、まずはキャンペーン以外も含めたファンドレイジング戦略の基本的な考え方をお伝えします。

ファンドレイジング戦略を考える際の最も基本的で実践的な考え方がステークホルダーピラミッドと呼ばれるフレームワークです。私がファンドレイジングの伴走支援をさせていただく際は、ほとんどのケースでまずステークホルダーピラミッドの作成をしていただきます。

ステークホルダーピラミッドの例を掲載します。

ステークホルダーピラミッドの画像

団体と支援者の様々な関係性をピラミッド形式の階層分けで整理する考え方です。ピラミッドの上に行けば行くほど、団体や団体のビジョンへの共感度・貢献度が高い関係性であり、下に行けば行くほどまだまだ潜在的な関わり方である、というものです。関係性の中には「寄付者」「マンスリーサポーター」などファンドレイジングに関わる金銭的な関わり方だけでなく、「ボランティア」や「職員」など非金銭的な関わり方も含めて記載します。掲載した図の中では左に行くほど金銭的な側面での関係性、右に行くほど非金銭的な関係性として位置づけてあります。(金銭的な関係性だけに注目して整理するものは「ドナーピラミッド」といいます)

団体としてさまざまな活動をする中で、自分たちが掲げるビジョンに対してどのような形で関わったり、共感を示してくれる人がいるのか、言ってみればその団体の現状の仲間の多様や関係性を可視化する考え方です。そして、ステークホルダーピラミッドを作成した上で、ファンドレイジングの戦略や具体的な施策はこのステークホルダーピラミッドに登場している様々な関わり方の人たちに「よりもう一歩上に登ってもらうにはどうしたら良いか?」「寄付者やマンスリーサポーターといった関係性を増やすためには誰にどのような声掛けをすることが必要だろうか」といった形で考えていきます。特に、団体のことは認知してくれていたり関心を持ってくれてはいるが、まだ具体的な一歩を踏み出してはいない「潜在(支援者)層」から「寄付」「ボランティア参加」などの社会的参加にいかに踏み出してもらうか、そのためにはどのような参加しやすい機会・選択肢を作り、どのように魅力的に伝えるかといったことがファンドレイザーの腕の見せどころとなります。

つまり、ファンドレイジング戦略の一番の基本は「寄付依頼はまず既存ステークホルダーに!」ということです。そして、本記事でテーマとしている「寄付キャンペーン」はステークホルダーピラミッドを踏まえて考えると非常に強力な施策だと言えるのです。

寄付キャンペーンの意義

ファンドレイジング戦略の基本的な考え方としてのステークホルダーピラミッドを理解することができましたので、いよいよ寄付キャンペーンについて考えていきましょう。冒頭で確認したキャンペーンの定義に当てはめてみると、寄付キャンペーンとは以下のように定義することができます。

一定期間において、
“特定の寄付金額目標”の下で、
多様なメディアを介して、
組織的に人々に働きかける一連の活動

そして、この寄付キャンペーンという施策はステークホルダーピラミッドから考えると、潜在層に対して一斉に強力な寄付のきっかけ(参加の機会)を提供するもの、ということができます。「寄付のきっかけ」は潜在寄付者にとっての「寄付する理由」と言い換えることもできます。

意思決定には「理由」が必要

寄付に限らず人が何かしらの意思決定を行うには、決定を行うだけの「理由」が必要です。

例えば新しい服を買うかどうかを悩んでいるとします。「欲しいけれど、高いな。どうしようかな」そんな風に悩んでいるときに、意思決定を後押しする理由を作りに行くのが企業のさまざまなキャンペーンです。

「期間限定で30%OFFだから」「プレゼントがもらえるから」「限定販売の色だから」

などなど理由の作り方はさまざまですが「今こそ買うべきときである」と意思決定の後押しをするのが多くのキャンペーンです。

寄付キャンペーンも同様ですし、むしろ一般の製品やサービスに比べて強力な理由が必要だと言えるでしょう。なぜならファンドレイジングにおいて働きかけを行うべき対象は、そもそも「寄付をしたい」と強く思っているわけではない人が多いからです。放っておいても寄付をしてくれる人ばかりで、それでビジョン実現に必要な資源が集まるのであれば特段寄付の呼びかけを行う必要はありませんが、そうではないからこそ各種のファンドレイジング施策が必要なのです。

ファンドレイジングに力を入れている団体であれば、活動の機会や、あるいはSNSなどの各種の媒体で普段から寄付の呼びかけを行っていると思います。この「寄付の呼びかけ」も呼びかけをされる潜在寄付者の側から見れば寄付の意思決定をする理由になりえます。「自分が関心を持っている団体から寄付を依頼されたから」「情報提供によって寄付の必要性を理解したから」といった形での意思決定ですね。

潜在層に一斉に寄付の機会(きっかけ)を提供する

寄付キャンペーンは、こうした意思決定の理由付けをさらに強力に行うことができる施策なのです。

特定の目標が掲げられていることで寄付の必要性や必要金額が非常に明確になりますし、期限が決まっていることも強力な理由になります。キャンペーン開催期間中は団体の各スタッフさんがSNSの投稿をしたり、自分の活動や生活の範囲で周囲の人に寄付のお願いを積極的に行うと思いますが、そのようなスタッフからの働きかけも「◯◯さんからキャンペーンへの協力を促されたから」という形で理由やきっかけになり得ます。(「寄付してくださいと言いにくい」という団体スタッフ側の苦手意識に対して「キャンペーンをやっているから」を理由にして声掛けをしやすくする、という効果もあります)

日々の活動を積み重ねる中で団体名や活動内容をそれなりに知っていて、関心は持っているけれど、実際に寄付をする程にまでは共感度が高まっていなかった多くの潜在層に対して、「今こそ寄付すべきときですよ!」とアピールすることができるのが、寄付キャンペーンの大きな意義だと言えるでしょう。

クラウドファンディングは寄付キャンペーンの特徴を最大化する

寄付キャンペーンには、実施形態や目的の置き方などでさまざまな種類がありますが、中でもクラウドファンディングは寄付キャンペーンの特徴を最大限に活かしたものであるといえます。

寄付キャンペーンの定義は以下のようなものでした。

一定期間において、
“特定の寄付金額目標”の下で、
多様なメディアを介して、
組織的に人々に働きかける一連の活動

クラウドファンディングは寄付キャンペーンの最たるもの!

「一定期間において」という点については、実施期間が明確ですし、特に期限内に目標金額が集まらなければ一円も入らないというAll or Nothingの形態ではなおさら期限という点が強調されています。

「“特定の寄付金額目標”の下で」という点についても、多くのクラウドファンディングプラットフォームにおいては、「実行者」という形でその目的や目標を掲げた個人に注目し、そのプロジェクトにかける想いや背景などを魅力的なストーリーで提示することが求められます。

「多様なメディアを介して」という点についても、SNSや口コミが盛り上がりやすい仕組みが整えられています。各種のSNSへシェアすることを促す表示がわかりやすいという意味だけではなく、特にAll or Nothingの場合は「目標達成しなければプロジェクトが成立しないから自分もシェアで応援しよう」といった形で心理的にもシェアが起こりやすい(シェアしたくなる理由づけが巧みな)仕組みになっているということができます。

寄付キャンペーンを企画するには魅力的な「理由」を考える

以上、いかがでしたでしょうか。

ファンドレイジングを継続的に実施していくためには、通常の広報やマーケティング活動において日頃から寄付の呼びかけをしっかりと行っていくことは当然必要ですが、寄付をする側から見ても魅力的で「ぜひ寄付したい」と思える理由を表現する寄付キャンペーンを定期的に企画することはファンドレイジング施策として非常に有効ですし、逆に特定の目的のために必要な資金があるのであれば、そのことをキャンペーンとして提示してより寄付が集まりやすくなるように演出していくことが必要です。

ファンドレイジング施策としての特徴を理解した上で、ぜひご自身の団体での寄付キャンペーンを企画してみてください。

 

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