NPOコンサルタント堤大介のブログ│朝ぼらけタイガー

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「PDFダウンロード」の活用ポイントと計測方法

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「PDFダウンロード」の活用ポイントと計測方法

 

あなたが運営されているWebサイトにはPDF資料を掲載しているでしょうか?
掲載している場合、そのPDFがどのくらいダウンロードされているかは計測していますか?

 

 

「ダウンロード」はコンバージョンとして計測すべき行動

Webマーケティングの効果を高めていくためには、Webサイトに訪問した人にどんな行動をとって欲しいのかという意味でのコンバージョンを設定し、計測していく必要があります。

「PDFのダウンロード」もWebサイトを訪れた人にとって欲しい行動の一つといえます。

コンバージョンとして計測することで「ダウンロードしてくれている人は増えているのか、減っているのか」「どこからやってきた人がダウンロードしてくれているのか」などを分析できるようになり、分析ができて初めてダウンロードを増やすためにどのような施策を打てば良いのかを考えることができるようになります。

 

なお、「コンバージョン」という考え方のポイントについては以下の記事に詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。

 

www.daisuketsutsumi.com

  

コンバージョンを定めたらGoogle Analyticsで「目標設定」をする

Webサイトを訪れた人にとって欲しい行動が決まったら、計測するための準備を行います。

アクセス解析のツールとしてGoogle Analyticsを導入している団体も多いと思いますが、私たちがコンバージョン行動として定めるものの多くはGoogle Analyticsをただ導入しただけでは計測することができません。

 

例えば、Webサイト上で寄付者を募っている場合やメールマガジンの登録を促している場合などに、その数を計測するにはコンバージョン行動ごとに設定を行う必要があります。

また、計測したいコンバージョン行動の種類によってGoogle Analyticsで設定する内容も異なっています。

以下はコンバージョン行動の例と必要な設定についてまとめた表です。

f:id:minutes22:20180630164102p:plain

 

本記事では、PDFのダウンロードなどを計測する際に使用する「イベントトラッキング」というGoogle Analyticsの機能の設定方法について紹介します。

 

※厳密に言うと、「イベントトラッキング」はGoogle Analytics上の用語では「コンバージョン」とは呼びません。Google Analytics上で「コンバージョン」として定義されるのは「目標」として設定したもののみです。Google Analytics上のイベントトラッキングは、「目標」として設定する前提として、イベントトラッキングという機能を使って個別のPDF資料が何回ダウンロードされたかを計測できるようにする必要がある、という位置付けのものです。とはいえ、「PDF資料のダウンロード数の計測」という基本的なことはイベントトラッキングを設定しただけで計測することができるため、本記事ではまずそのやり方を解説します。

 

NPOのWebサイトでPDF資料を活用するケース

NPOのWebサイトにおけるPDF資料の活用には例えば以下のような場合があります。

 

f:id:minutes22:20180630164126p:plain

あなたの団体のWebサイトには当てはまりますでしょうか?

掲載をしている場合、あるいは掲載を検討した方が良い場合には、ぜひ本記事で紹介する計測の設定についても検討してみてください。

PDFのダウンロード数を計測している事例:認定NPO法人 国際協力NGOセンター(JANIC)

例えば、海外で活躍する日本の国際協力NGOのネットワーク組織である国際協力NGOセンター(以下、JANIC)では、「持続可能な開発目標(SDGs)」の国内普及・啓発を目指して、職場や店舗などで使える”ひとこと多い張り紙”をWebサイトで公開し、ダウンロードを促しています。

この普及・啓発活動の指標として17個の張り紙のダウンロード数を計測するため、Google Analytics上に設定していたこれまでの他の目標設定に加えて、イベントトラッキング機能を使ってPDFのダウンロード数を計測できるように設定しました。

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JANICの”ひとこと多い張り紙”は以下のページにてご覧いただけます。

www.janic.org

 

JANICが取り組んでいるような張り紙・ポスター以外にも、最近ではインフォグラフィックなど複雑な情報を視覚的に分かりやすくする表現方法が発達してきています。また、関心が広がっている社会的インパクト評価の文脈でもロジックモデルなども自分たちの日々の活動と掲げているビジョンやインパクトがどのようにつながっているのかを図解するものです。

インターネットが普及し、世の中の情報量が増え続けている中では、何気なく発信する情報は簡単に見落とされてしまいがちです。自分たちの活動をパッと見で分かりやすく伝え、広げていく方法として画像を活用する必要はないか、必要がありそうな場合にはどのように計測すると良さそうかをぜひ考えてみてください。

 

イベントトラッキングの計測方法

①編集箇所を特定

イベントトラッキングの計測設定では、Google Analyticsの管理画面上での設定ではなく、直接HTMLファイルに記述する必要があります。Wordpress等、自団体のWebサイトを管理しているシステムにログインし、HTMLソースの中でダウンロード数を計測したいPDFが掲載されている箇所を特定してください。

②HTMLに記述を追加

編集箇所が特定できたら、HTMLコードにデータ送信のためのタグを書き加えます。

 

変更前:

 

<a href="https://publico.jp/example.pdf" download="example.pdf">PDFをダウンロードする</a>

 

変更後:

 

<a href="https://publico.jp/example.pdf" download="example.pdf" onclick="ga('send','event', '【カテゴリ】', '【アクション】','【ラベル】','【値】');">PDFをダウンロードする</a>

 

赤文字で記載した部分が追加箇所です。

コードを記述する際にはカテゴリ、アクション、ラベル、値という4つの項目を決める必要があります。

4つの項目の意味は以下の通りです。

f:id:minutes22:20180630164210p:plain

タグの記載内容詳細についてはGoogleの公式情報も参照するようにしてください。
 

developers.google.com

 

③Google Analytics上でデータを確認

HTMLに記述を追加した翌日以降、Google Analyticsにデータが反映されるようになります。左側のメニューから「行動」→「イベント」→「概要」と選択すると、設定したイベントの集計情報を確認することができます。

注意点

Webサイトに埋め込まれているGoogle Analyticsのタグの種類にはご注意ください。
Google Analyticsは機能の拡張に応じてタグの「世代」が更新されてきています。
2017年10月現在最新のものは「第5世代(gtag.js)」のタグです。

古い世代のタグでも現状通常のデータ集計には差し支えがありませんが、特定の機能の使用可否や使い方が異なっており、イベントトラッキングについてもタグの記載方法が異なります。今回の記事でご紹介したのは現在主流で利用されている「第4世代(ユニバーサルアナリティクス)」での記述方法です。

また、Googleタグマネージャーを利用している場合も計測方法が異なりますので注意が必要です。

PDFダウンロードは目的ではなく手段である

本記事ではGoogle Analyticsを使ってWebサイト上のPDF資料のダウンロード数などを計測する方法についてご紹介しました。

最後に1点付け加えておきます。

本記事の冒頭で、Webサイトに訪問した人にどのような行動を取ってほしいのか定め、そのコンバージョン行動を計測していく必要があると述べました。PDF資料のダウンロードがどの程度発生しているのかを分析することはマーケティングのPDCAを回していくためにとても重要なことです。ただ、考えていただきたいのはWebサイト訪問者に取ってほしい行動はPDFダウンロードそのものではないのではないか?という点です。

例えば事例として紹介したJANICの”ひとこと多い張り紙”は、SDGsの普及啓発を目指した張り紙ですので、Webサイト訪問者に期待するのはダウンロードをした後、実際に職場等で張り紙を貼るという行動ですし、もっといえばその先に張り紙を見てSDGsに関心を持つ人や、自身の行動を見直す人が増えるというのが目指すところです。

もちろん、Webサイト上でそれらのすべてを計測することは難しいですが、少なくともダウンロードを訴求するページ上ではダウンロード後に期待する行動についてしっかりと説明を行う必要があります。また、自分たちが起こしたい変化のうち、Webサイト上ではどこまでを計測することができているのか、Webサイトから先の行動を可視化していく方法はないのかといった点はしっかりと考える必要があります。

 

Webサイトにダウンロード用の資料を掲載する際にはぜひダウンロードの先に目指すことについても考えてみてください。