堤大介のブログ - 朝ぼらけタイガー

NPOなど公益組織のコンサルタント。NPO関連の話題の他、読んだ本のレビューなどを書きます。

プロフェッショナルになるための7つのステップ 概論編

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ソーシャルセクターやその周辺領域で「プロとして食べていきたい」あるいは「お金を稼げるようになりたい」という相談を受けることがあります。
まだまだ自分自身も成長途上ではあるのですが、お陰様でそれでもなんとか現在ソーシャルセクターでコンサルタントとして身を立てています。


今回はコンサル未経験から2年間でどのようにNPOコンサルタントとして独り立ちするに至ったかについて、改めてまとめてみました。


コンサルタントに限らず、ソーシャルセクターに限らず、何かしらで自分の旗を立て自立していきたいという願望を持っていらっしゃる方には参考になる部分もあるのではないかと思います。
もし良ければ読んでみていただけるとありがたいですし、自分の場合はこうだったよ!というストーリーのある方はぜひ聞かせていただけるとありがたいなと思っています。


ライフシフト的な話も含めて、今後自分で立てた旗のもとに仕事や生活を切り開いていくという方は増えていくと思いますし、そうしたいと願っている方は現在でもかなり多いのではないかと思います。そうした方たちが一人でも多く初めの一歩を踏み出すために、ロールモデルとなる情報が増えていくといいなと思います。

 


プロフェッショナルになるための7つのステップ

これから紹介するのは「プロフェッショナルになるための7つのステップ」と題したフレームワークです。

 

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これは元々は私が3月まで務めていたPubliCo時代に、どのように堤がコンサルタントとして自立していくか(そのために何にチャレンジしていくか)ということを話す際に上司(であり雇用主)であった山元圭太さんからご提示いただいたフレームワークです。


PubliCoとしての育成フローとしては中途半端に、というかあまりその後のプロセスを山元さんと一緒に評価する機会があまり作れないままPubliCoの解散に至ってしまったのですが、個人的にはずっと頭の中に残っていて、自分の中で振り返りや先の展望を考える際には修正しながらも必ず参照するフレームとなっていました。


PubliCoの解散から新しい環境に転職して半年が経過し、コンサルとしては完全に一人で仕事をした半年が終わりました。(NPO案件はSTYZという会社名義で受けているのですが、コンサル部門は完全に堤一人体制です)
この半年や、その前提としてのPubliCo時代の自身の成長プロセスを改めて振り返ってみると、やはりこの7つのステップを一つずつ登ってきたんだなと思います。

 

それではここからは7つのステップを一つひとつ解説していきます。

 

1. 世界観

第1のステップは「世界観を知る」です。
自分が旗を立てたいと思った分野ややってみたいと思ったこと、進んでいきたい方向性など。そういったものに関してすでにその分野で活躍し、仕事をしている人を見つけ、その人がどのような仕事をしているのかを知るということ。ここでポイントとなるのは、単に文字情報や伝聞情報として調べるということだけでなく、本人に直接話しを聞くこと。さらに言えば可能な限り、その人が仕事をしている姿を実際に見聞きさせてもらった方が良いです。だからこそ単に「調べる」ではなく「世界観を知る」。実際に現場を目の当たりにしその空気感を知ることで、仕事人としての振る舞いやお客さんの顔や声を言葉にはできないレベルも含めて感じることができます。このステップを踏むことによって自分がその道を本当に望んでいるかを確かめることもできますし、自分が目指していく到達点をより明確に描くことができます。成長していくためには理想と現実のギャップを埋めていくことが必要ですが、この第1のステップはまず到達の目安となる「理想」がどういう状態なのかを描くということだといえます。

 


2. 体験

第2のステップは「体験する」です。
第1のステップの「世界観」が理想を知ることであるとすれば、第2段階は自分のその時点での現実を知るというステップです。
世界観として知った仕事の仕方やふるまい方、成果の出し方を実際に自分が試してみること。お試しやトライアルの仕事です。業務としての感覚を掴むことを目的とするので、この段階では仕事としてお金を取るということにはこだわりません。むしろお金はとらない代わりに自分の仕事の出来を試させてもらう場をいただき、心理的に安心安全な状態でチャレンジできる環境を整えられるならその方が良いです。もちろんお金をもらわないからといって無責任なふるまいをしてよいわけではないのでその点は重々注意を。
第1のステップで描いた理想と現時点の自分のギャップを感じることができますし、仕事としてのニーズがどの程度あるのかを把握できます。


3. 一般論

第3のステップは「一般論を知る」です。
自分が旗を立て身を立てようとしている分野についてその時点で公開されている情報を収集し、整理して理解する段階です。書籍を読んだり、Web上の記事を参照したり。あるいは関連する資格などが存在する場合は資格取得に向けた勉強をしてみるのでも良いでしょう。体系立てられた知識や視点を自分にインストールするというこの段階は、第1、第2のステップで感じた理想と現実のギャップを埋めるためにどのような階段を登っていけば良いのかを整理していくために必要となるステップです。中には自分がすでに登ることのできる階段もきっとあるでしょう。どこが今の自分には足りなくて、これから身につけないといけないのはどこなのかを把握し、身につけてください。


4. 自論

第4のステップは「自論を構築する」です。
一般論を理解し、身につけるだけで終わってしまってはいけません。ある分野で旗を立てていくためには他の人にはない自分だけの強みが必要です。一般論を自分なりに解釈し、オリジナルの自論を作り上げてください。といってもこれまで存在しなかったような突飛なことを無理やり言わなければならないということではありません。「世界観」を知ったときや「体験」をする中で、あるいはそもそも自分がその分野に興味を持つ中では多かれ少なかれ自分なりの視点の持ち方があると思います。また、「一般論」を知る過程で既存の情報に対して違和感を抱く部分もきっとあります。一般論にそうした自分なりの視点を加えて整理するのが「自論を作る」です。第4ステップの一般論に対して違和感を一切抱かないとしたら「世界観の感じ方や体験の仕方が足りていない」のか、「一般論が完全に完成されている分野(習得という意味では楽だけど競合が多く差別化が難しい分野)」なのかもしれません。


5. 公開

第5のステップは「自論を公開する」です。
自身の独自の視点でまとめた自論を世に公開してみましょう。公開の方法は何でも良いですが、基本的にはWebを活用するのがやりやすいかと思います。Wordpressなどでブログを作るのでも良いですし、最近でしたらnoteなども良いかもしれません。どの媒体を使用しても良いですが、書いているだけではなかなか見てもらえませんのでSNSなど発信も組み合わせながら戦略を練りましょう。この辺の細かい話はマーケティングに入っていきますので本記事では省略します。本ブログの「Webマーケティング」カテゴリの記事やWeb上のその他の記事、書籍などをご参照ください。
Web以外方法としてはセミナーや勉強会などを開催する方法があります。セミナー開催をサポートするようなWebサービスもあります。
この第5のステップの目的は大きく2つ。一つには、公開した自論に対して反応をもらいさらにブラッシュアップすること。もう一つは想定顧客やその周辺にいる人に情報を届け、自身がその分野に関する仕事のができる人材であることを伝えることです。

 


6. 実践

第6のステップは「案件の実践」です。
公開した自論を機に繋がった人からの依頼、あるいは紹介していただいた依頼を仕事として受ける段階です。第2のステップ「体験」では必ずしもお金を取らないでも構わないと書きましたが、「実践」のステップは違います。プロとしての仕事の実践ですので、自身がプロとしての生きていくために適正だと思う価格(裏返していえば、顧客側もプロに依頼する価格として妥当だと認識している価格)で受注できると良いです。もちろん、最初は実績を積むことが大切ですので、戦略的に価格を変動させていくのは有りです。例えば、最初に依頼してくれる顧客にはトライアル価格で安く受ける代わりに納品後のインタビューやアンケートに協力してもらったり、Webサイトやチラシに「顧客の声」として掲載許可をいただくなど。
また、仕事を実践する中では自論として打ち出したものがしっかりと成果を出すことができているのか、改善すべきことはないのか(必ずあります)を仕事の度に丁寧に振り返るようにしましょう。

 


7. ブランディング

第7のステップは「ブランディング」。自身が進んでいきたい分野で立てた旗を高く掲げ、多くの人に認知してもらうということですね。「6. 実践」のステップにも少し書きましたが、仕事としての実践はすべて実績となります。

 

  • どのような顧客の(ターゲット)
  • どのような悩み・課題を(ニーズ)
  • どのようなアプローチで解決し(ソリューション)
  • どんな成果を出したのか(アウトプット&アウトカム)


そうした内容をしっかりと発信することで、同じような悩みを抱える人からも見つけてもらいやすくなります。仕事を紹介いただける機会も増えていきます。
紹介が増えると時にはメインの顧客層とは異なる属性の依頼が入ったり、自分が専門にしている範囲の周辺にある分野の仕事が入ってくることがあります。そうした案件を受けるのか、受けないのかは戦略によってどちらもあり得ます。ただ、いずれにせよそうした形で仕事の範囲を広めたり、専門特化させていくということを繰り返すことで「あの人はこういう仕事をしてくれる」という評判や「この分野のことならあの人に聞けば良い」という期待が広まっていきます。そうした形で徐々に自身のブランド、「旗」を確立していきましょう。

 


二周目に入る

7つのステップを経て一つの分野である程度の仕事ができるようになったとして。さらにその先へ進みたい場合は二週目に入りましょう。


すでに自分が得た専門性をさらに深めるような道でも良いですし、幅を広げる選択や、あるいは別の分野の専門性を得て、領域の異なる専門性を掛け合わせていくという方向性もあります。

 

掲載したスライドの例で言えば、

 

1周目:ファンドレイザー…組織の中でファンドレイジングを推進できるプロ

2周目:FRマネージャー…組織のFR戦略を責任をもってチームを率いることができるプロ(1周目の専門性に「マネジメント」の専門性を加える)

3周目:NPOコンサルタント…他組織の経営戦略の課題解決をすることができるプロ(1、2周目の専門性からファンドレイジング以外の分野へも専門性を広げる)

 

といったような形で専門性の掛け合わせやチャレンジ領域の拡大をしていく、というようなイメージです。みなさんの場合はいかがでしょうか。

 

「プロとして食べていく」ことに憧れや悩みを抱えていらっしゃる方はぜひこのフレームワークを使用してみてください。 

  


次回は本記事の概論を元に実践編として実際にこのステップを活用していくためにどうすれば良いのかを、私自身の経験を事例としてご紹介できればと思います。

 

追記:第2弾公開しました

 

www.daisuketsutsumi.com