こんにちは。NPOコンサルタントの堤大介( @22minda )です。2018年7月11日、7月12日の一泊二日で滋賀県東近江市へ呼んでいただきました。
<p11日は地域で活動されている方たち向けのWebマーケティングセミナー「インターネットを使って情報発信をするコツを知る!!入門編」で講師を、
12日はまちづくりネット東近江さんのスタッフの皆さんとホームページリニューアルに向けたワークショップを実施してきました。
Webマーケティングセミナー「インターネットを使って情報発信をするコツを知る!!入門編」
11日は東近江市の中間支援組織まちづくりネット東近江さんと淡海ネットワークセンターさんの共催によるWebマーケティングセミナーでした。法人格としてのNPOに限らず地域で活動をされている方たち、これから何か活動しようと思っている方たちが対象で、NPO、社団さん、財団さん、行政の方、地域おこし協力隊の方、株式会社の方、個人の方など多様な方たち40名程にご参加いただきました。
NPOのマーケティングとは?
セミナーのテーマはNPOのWebマーケティングですが、Webの話に入る前に、そもそもNPOにとってのマーケティングとはどういうものだろうかというところから入りました。
営利組織のマーケティングと対比して捉えると分かりやすくイメージを掴むことができるので、穴埋め形式のスライドを使って皆さんに考えていただきました。
それぞれどんな言葉が入ると思いますか?
また、こうしたNPOマーケティングの目指すところを分かりやすく表現しているものとして団体のビジョンがあるということから、マーケティングで適切に効果を出していくためにはそもそも団体として目指しているところが明確になっている必要があるという点を解説し、こうした理解を前提として、具体的な講義の中身に入っていきました。
「効果的」なWeb活用とは?
いろいろな団体さんからご相談を受けます。「もっと効果的にWebマーケティングをやりたい」「インターネットをもっとうまく使いたい」と。
そのときに、「ではどんな効果を出したいんでしたっけ?」と聞いてみると、意外とそこから答えが返ってこないことも少なくありません。残念ながら、出したい効果が決まっていなかったらWebマーケティングが効果的になっていく方法を考えることもできません。
ではWebマーケティングの効果とは何かということですが、専門用語では「コンバージョン」といいます。コンバージョンとは英語で「転換」という意味の言葉ですが、Webサイトの訪問者が顧客に「転換」するのはどんな行動をとってくれたときなのか?ということです。
分かりやすく言い換えると、「誰にWebサイトに来てほしくて、Webサイトで何をして欲しいのか?」が明確になっているかということ。
まずはこの点を整理することが大切です。なぜなら多くのサイトの場合、「誰に来て欲しいのか」という質問への答えがたくさんあるから。
Webサイトに来て欲しい対象者はたくさんいます。受益者・寄付者・ボランティア…、あるいは市内の人・市外の人、団体のことを知っている人・知らない人…などなど。
分類の仕方はたくさんあります。サイトや戦略によって想定の立て方はいろいろありますが、NPOの場合少なくとも複数のターゲットが来ることを想定しているということがほとんどかと思います。
多くの人たちに向けたページが雑多に用意されていると、それぞれのターゲットの人たちがHP上で取るべき行動が適切に示されないままなんとなくあっちのページを見たりこっちのページを見て、そして帰ってしまいます。これでは「効果」が出るはずはありません。
ですので、しっかりとサイトに来て欲しい「誰か」にどんな人がいるのかを洗い出した上で、それぞれの人たちにとってほしい行動(コンバージョン)を決めることから始めることが大切、ということです。
コンバージョン設定については以下の記事にて詳しく解説しています。
Web施策の種類と特徴
Webサイト訪問者のターゲット像とコンバージョンが定まったら、実際にコンバージョンを発生させていくための具体的な施策について検討していきます。
Web施策の分類については私のセミナーではもう毎回お馴染みなのですが、「集客」「接客」「再来訪」の3つに分類して理解していきましょう、という話です。
特に今回は個別の施策の解説に入る前に、「決済・申込みの仕組みをいかにWebサイトに用意するか」という点についてもお話をしました。
Webマーケティングをはじめてやるという方も多いと事前にお聞きしていましたので、冒頭にみなさんに検討していただいたコンバージョンについて実際に取り入れる仕組やツールのご紹介です。3分類でいうと「接客」に含まれる施策ですが、少し掘り下げて具体的なツールの紹介として「クレジットカード決済」「イベント申し込み」「商品販売」をWebサイト上に簡単に取り入れられるツールを扱いました。いずれも初期費用や月額固定費などが発生しないツールがありますので、まずチャレンジてみるということがかなりやりやすくなっています。
【集客施策】
集客施策についてもいくつか個別の施策の紹介をさせていただきましたが、特に皆さんが日々活用する機会が多いSNSについて長めに時間を取り、SNS毎の違いやFacebook改善のためのポイント、運用を改善するためのポイントなどをご紹介し、実際に皆さんにも投稿するコンテンツンの検討ワークに取り組んでいただきました。
【接客施策】
接客についてはランディングページの考え方についてご紹介した他、実際にランディングページやWebサイトや画像を簡易に作成できるツールについて紹介しました。
【再来訪施策】
再来訪施策についてはリターゲティング広告などの考え方や事例について簡単に触れた後、実際の活用場面の多い施策としてメールマガジン、そして現在活用が増えつつあるLINE(LINE@)についてそれぞれの特徴などを解説いたしました。
施策の3分類については以下の記事にて詳しく解説しています。
施策の組み合わせ
ここまで学んできたことを活かしてそれぞれ自団体の施策について整理をしていただきました。模造紙と付箋をつかって自団体のWeb施策の整理を行い、狙ったコンバージョンを発生させていくために、いま足りていない施策がどのような点にあるのかを考える作業です。
最後に振り返りの時間ととって、それぞれネクストアクションを検討・発表いただいて終了しました。
事前に会場にきていた方たちとご挨拶しながらお話を伺った範囲では、まだWebサイトを持っていないという方から具体的に施策の改善やHPの改修について悩んでいるという方まで様々でした。それぞれの状況に合わせてやるべきことはたくさんあって、いくらでも情報が出てくるのですが、情報が多すぎていったい何からやっていいのか分からないという悩みを抱える方は非常に多くいらっしゃいます。今回決めたネクストアクションの実行もそうですが、しばらく経って状況が変わった際に、今回のセミナーの内容を活かして都度自分たちに必要な施策を検討するためのきっかけにしていただけると幸いです。
当日の様子について主催団体の皆さまも記事にまとめてくださいました。
HPリニューアルに向けたワークショップ
2日目はまちづくりネット東近江さんでコンサルティング。
今年度中にWebサイトのリニューアルを検討されているとのことで、実際のどのようなWebサイトを作るのかを検討するためのワークショップを実施しました。
HPリニューアルの手順
リニューアルの進め方もいろいろな考え方があるかと思いますが、今回は以下のような手順でご説明しました。
事前のオンライン打ち合わせ時に「①現状のHPの課題の洗い出し」を行っていましたので、今回はその課題を整理した上で、②〜④を進めていきました。
- 誰に来て欲しいのか?
- その人達にHP上で何をして欲しいのか?
- その行動を起こすためにどんな情報を伝えればよいのか?
- 伝えるべき情報を実際のページ構成に整理するとどのような形になるのか?
- 各ページには具体的にどんな情報を載せていくのか?
3時間程のワークショップでしたので、当日だけでHPリニューアルに向けた検討がすべてできたわけではないですが、実際に今後団体内でどのような検討や議論を進めていけば良いのかについてはかなりイメージをつかんでいただくことができました。
11日のセミナーも12日のワークショップも、最初の問いは同じで「誰に何をして欲しいのか?」です。
この問いが大切なのは何もWebマーケティングに限った話ではなく、突き詰めれば団体が実現したいと思っているビジョン、達成したいと思っているミッションは何なのか?という点がクリアになっているかどうか、そしてビジョン・ミッションのためにWebの役割はなんなのかということを丁寧に考えるということ。回り道なようなですが、これが一番真摯なやり方だと思っています。
二日間お世話になった東近江の皆さま、本当にありがとうございました!
今回は街を歩く時間を取ることができなかったので、次にお伺いするのを楽しみしています!