堤大介のブログ│朝ぼらけタイガー

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「お礼」「報告」「再提案」3種の支援者コミュニケーションの考え方

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「お礼」「報告」「再提案」3種の支援者コミュニケーションの考え方

こんにちは。NPOコンサルタントの堤大介( @22minda )です。本記事では「「お礼」「報告」「再提案」3種の支援者コミュニケーションの考え方」と題し、寄付者さんなどの支援者に対するコミュニケーションについて、考え方や使い分けについて解説していきます。

 

寄付はしてもらって終わりではない。寄付集めを始める前にコミュニケーション設計をすべし!

NPOに関わる皆さまからご相談いただく内容の中でもファンドレイジング、特に寄付や会員集めに関する悩みは特に多くご相談をいただきます。ご相談の内容は団体の状況によりさまざまですが、「ファンドレイジングに力を入れなければ!」と悩んでいらっしゃる団体さんの多くに共通しており、多くの団体さんに共通して私がお伝えしているのが支援者コミュニケーションの重要性です。

支援者(寄付者)コミュニケーションというのは、寄付などの支援をしていただいた方に対してどのような情報を伝えたりやりとりをすべきかということ、具体的には寄付者に対しての「お礼」や、活動の「報告」などが該当します。

基本的には「寄付をしていただいた後」に発生するものであるため「そんなことはあとで考えるからとにかく寄付の集め方を教えて下さい」という反応をいただくことも少なくありませんし、オンラインで気軽に寄付集めを始めやすい環境になっていることもあり、実際に寄付者コミュニケーションについて検討したり準備をする前に寄付集めを開始してしまうケースも見受けられるのですが、本来は寄付の呼びかけを行う前に、寄付をしていただいた方とどのようなコミュニケーションを取っていくのかをしっかり設計してから始めるべきだと私は考えています。

なぜなら寄付は一度してもらったらそこで終わりなのではなく、むしろ一度寄付をしていただいたところからその寄付者の方と団体の関係性が始まり、一緒にビジョンを実現していく仲間やファンになっていただくということだからです。寄付をしていただいた方にどのようなタイミングで何を伝えるべきか、何も考えずに寄付集めを始めてしまっては、いくら寄付の呼びかけの際にきれいな言葉を飾っていたとしても、寄付者の方を単に「お金」としか見ることができていないのではないかと思います。

ビジョンを実現していく仲間としての寄付者を大切にしているということを示し、寄付者の方に「寄付して良かった」と感じてもらう具体的な機会を作るのが支援者コミュニケーションなのです。寄付や会費を継続的に、長期的に集め続けている団体には必ず丁寧に設計された支援者コミュニケーションがあります。寄付や会費を集め続けたいなら支援者コミュニケーションについてしっかりと考えましょう。

3種類の支援者コミュニケーション

ではここからは支援者コミュニケーションの具体的なあり方としてどのようなものがあるのかを大きく3種類に分けて解説していきます。支援者とのコミュニケーションをどのように行うかは団体と支援者の関係性により多様なのでここでご紹介する3種類以外にもさまざまに考えることができますが、まずはこの3種類を基本として、自組織に欠けていた視点がないか、自組織なりに応用できるものがないかなど考えてみてください。

お礼

まず一つ目は「お礼」です。寄付をしていただいたこと、団体や受益者に対しての共感を示し、行動を起こしてくれたことに対しての感謝の気持ちを伝えることです。これはごくごく当たり前のことですので、寄付者の方に一切のお礼をお伝えしていないということはほとんどないかと思いますが、一口にお礼といってもその伝え方や感謝の示し方はタイミングも、その方法もさまざまです。

最も基本的なのは寄付をいただいた後にすぐにお伝えするお礼状やお礼メールです。オンラインの寄付決済システムを利用している場合、システム側から自動送信されるメール文面の中に団体オリジナルのお礼文面を差し込めるものもありますし、それとは別に団体側から直接のメールやお手紙をお送りしている団体もあります。団体さんによっては、お礼状の中に一枚一枚直筆でお礼コメントを書いていらっしゃる場合もあります。

特に大口の寄付者の場合には電話や訪問で直接お礼をお伝えする場合もあるでしょう。このような場合、寄付者さんとの関係性にもよりますが、誰がお礼を伝えるか、も考慮すべき点となります。(経理担当ではなく、代表が直接お礼をお伝えする、など)

団体HPや活動報告書、あるいはSNS等の団体所有のメディア等に寄付者名や企業名を掲載するということが感謝の気持ちの表明になる場合もあります。(寄付者の方に喜んでいただけるかどうかは相手にも寄りますので必ず相手の希望を確認しましょう)

また、団体によっては支援開始から一定の年月や回数を越えた方に対して「お礼状・感謝状」等をお贈りしたり、「感謝の集い」のような特別なイベントを開催しているような場合もあります。

他にもさまざまな方法ややり方が考えられます。これらはとにかくたくさんやれば良いというものではありませんし、手間をかけさえすれば良いということでもありません。自組織と自組織の寄付者の関係の中でどのような仕方で感謝の気持ちを伝えていくとより伝わりやすいのかを考えてみることが大切です。

報告

二つ目は「報告」です。いただいた寄付金や会費を活用して活動を実施することができたら、そのことをしっかりと寄付者の方にご報告しましょう。

では何を報告すべきでしょうか。報告すべき内容はたくさんあります。いただいた資金を活用して事業や活動を実施したという事実自体も報告できることですし、具体的に何の費用に充てたのかという寄付金使途もそうです。もちろんそれらもしっかりとお伝えすべきものですが、よりしっかりとお伝えしていただきたいのは活動や事業の「成果」です。いただいた寄付金を使って事業・活動を行ったことにより、受益者や活動地の状態にはどのような変化があったのか、課題に対してどの程度の対処ができたり解決に近づくことができたのか、といったことです。

こうしたことがしっかりと伝わると寄付者の方は「自分の寄付が役に立った」と実感したり「寄付して良かった」と感じてくださったりします。

ただ、一点注意していただきたいのはここまで書いたことはあくまでも原則論であるということです。繰り返しになりますが、寄付者と団体の関係はそれぞれ異なりますので、関係性が異なれば報告すべき内容も異なります。

例えば団体に対してというよりも、団体の代表者個人に対しての共感性が強い寄付者さんが多い団体の場合には、細かな寄付金の使途や実施した事業内容よりも、代表の方が今どこでどんなことをしていて、何を感じているのかといったことが報告される方が嬉しいと感じてくださるような場合もあります。この辺りは寄付金の使途など事実ベースの詳細報告が重視される助成金とは異なる点と言えます。

団体と寄付者の関係性については以下の記事で考え方の類型や事例の解説を行っていますので良ければご覧ください。

www.daisuketsutsumi.com

 

再提案

支援者コミュニケーションの三つ目は「再提案」です。この再提案が視点として抜け落ちてしまっている場合が少なくありません。ビジョン実現に向けて寄付者として参加してくださった方に、よりもう一歩踏み出していただきたいということをしっかりと伝えましょう。

寄付をいただいたことに対して「お礼」を伝え、いただいた寄付金を使った事業により一定の成果を出せたとして、NPOの活動はそこで終わりではありませんよね。ビジョンの実現に向けてはきっとその先に進むべき道が続いているはずです。だとしたら、その先の道も一緒に歩んで欲しいということを率直にお伝えしましょう。「次は◯◯という成果を目指しているのでもう一度寄付という形で参加をしてもらえませんか?」と。

また、寄付という観点での再提案はもう一度寄付をいただいたり、マンスリーサポーター等の継続寄付者であれば寄付金額(口数)の増額依頼という形になりますが、ビジョンの実現に向けた(再)提案の方向性は必ずしも、寄付という資金面からの参加のみに限る必要はありません。

ボランティアやプロボノとしての活動への参加を提案することもできますし、寄付を呼びかける側に回ってみることを提案してみる(バースデードネーション等のPeer to Peer寄付の実施提案をする)こともできるでしょう。寄付者の方あるいはボランティアの方に、今までとは違った別の関わり方を提示することは、支援者の方へさらなる社会参加の機会を提案するということであり、市民社会の担い手であるNPOの大切な役割の一つでもあります。

※Peer to Peer寄付については以下の記事で詳しく解説しています

www.daisuketsutsumi.com

 

最後に。継続率などの指標と双方向性について

さて、本記事では「「お礼」「報告」「再提案」3種の支援者コミュニケーションの考え方」と題し、基本的な支援者コミュニケーションの考え方について解説してきました。ファンドレイジング戦略や施策というとどうしても、どのように寄付者を集めるか、という点にばかり注目してしまいがちですが、支援者コミュニケーションをおろそかにしているファンドレイジングでは寄付者の方に良い寄付体験をしていただくことはできませんし、それではたとえ短期的に寄付が集まったとしても、継続的に寄付を募り続けることはできません

また、長期的なファンドレイジング戦略においては、寄付者の継続率や再寄付率などを重要指標とすることがあり、それらの指標の改善を考える際に、本記事でお伝えしてきたような支援者コミュニケーションの設計を検討し直すこともあります。ただ、個人的には指標は結果としてあとからついてくるものであり、あくまでも根底には「支援者との関係性はどうあるべきか」という団体ごとのこだわりや願いがあって、そうしたものをどのように表現すべきかという発想から考えるべきものだと考えているため、本記事ではあまり具体的な指標とは結び付けずにお伝えをしました。なんらかの指標を目標として掲げて取り組む場合にも、基本の考え方は変わらないという点は意識していただけると良いかなと思います。

そして、最後にもう一点。本記事では「コミュニケーション」と言いつつ基本的に団体側からの働きかけ方をお伝えしましたが、本来はやはり双方向的なものであるべきだと思います。寄付者の方にはそれぞれの寄付をした理由や寄付に込めた思いがあるはずですし、団体と一緒に支援者としての歩みを進めていく中でそうした考えや気持ちが変わっていくこともあるはずです。そうした支援者としての想いをどのようにひょうげんしていただくかなど、双方向性をどのようなタイミングでどのように引き出していけると良いのかも団体によってさまざまに考えられるかと思います。この点はあえて具体的な例は示しませんので、自組織の支援者さんとの関係を思い浮かべながら、あるいは支援者さんと一緒に考えてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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